ルール解説 2026-10-29
公認野球規則の2026年度改正点|大学野球部員が押さえたい要点
「ルールが変わったらしいけれど、自分のプレーに関係するのはどこなのか分からない」と感じている部員は、少なくないのではないでしょうか。公認野球規則は毎年のように見直されますが、条文番号と専門的な文言が並ぶ改正文書は読みづらく、チーム内でも「何となく聞いたことがある」程度で止まりがちです。
2026年度の改正は、日本野球規則委員会が2025年11月20日に発表したもので、全部で27項目あります。ただし、日本高等学校野球連盟(日本高野連)審判規則委員会の解説資料を読むと、27項目の多くは「プレイングルールは従来どおり」と説明される文言の整理です。この記事では、改正文書の原文と日本高野連の解説をもとに、プレーに関わる改正、日本では適用されない改正、大学野球では所属団体の規定が優先される項目を分けて整理します。
なお、大学野球の細かな運用は連盟ごとに異なる場合があります。この記事で確認できた範囲は出典付きで示し、確認できていない部分は断定しない形で書いています。出場・観戦する大会については、所属連盟の最新の規定や大会要項を確認してください。
2026年度改正の全体像:27項目は3つに分けて読む
日本野球規則委員会の改正文書(2025年11月20日付)は、27項目を次の3つに分けています。
| 区分 | 内容 | 項目の目安 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 2025年の米国オフィシャル・ベースボール・ルールズ(OBR)の改正に伴う規則改正 | (1) |
| Ⅱ | 米国ルールとの比較検討により再確認した項目の改正(主にこれまで不記載だった項目の追記と文章の修正) | (2)〜(10) |
| Ⅲ | その他、日本野球規則委員会で協議した項目の改正(「プロ野球・プロフェッショナルリーグ」表現の削除・修正、注の追加・修正など) | (11)〜(27) |
日本高野連の解説では、この27項目のうち投手の投球動作の文言修正(3)(10)、ベースコーチの違反行為(8)、オブストラクション関連(9)、「打者」を「打者走者」に改める表記整理(27)などについて、「プレイングルールは従来どおり」と明記されています。つまり、27項目すべてが試合の進め方を大きく変えるわけではありません。
一方で、プレーの判断や準備に関わる項目もあります。次の章から、部員が知っておきたい順に見ていきます。
日本では適用されない:内野手の守備位置制限
改正項目の(1)は、5.02(c)の内野手の守備位置に関する規定です。投手が打者に対して投球のためにボールが手から離れたとき、4人の内野手のうち2人ずつは二塁ベースの両側に分かれて、両足を位置した側に置いていなければならないという内容で、違反した内野手が投球後最初にボールを触れた場合は、打者に安全に一塁が与えられるというペナルティも示されています。いわゆる極端な守備シフトを制限する、米国の2023年改正に対応した規定です。
ここで注意したいのは、日本高野連の解説資料が「本項は【注2】で記載されているとおり、引き続き我が国では適用しません」と明記している点です。条文が改正文書に載っていることと、日本の試合で適用されることは別です。
「内野手が二塁ベースの両側に2人ずつ位置しなければならない」という話をSNSなどで見かけても、日本の試合でそのまま適用されるとは限りません。ルールを確認するときは、条文の本文だけでなく「我が国では」「アマチュア野球では」といった【注】の記載まで読むことが大切です。
プレーに関わる改正:隠し球・ハイブリッドポジション・アピール
隠し球(5.06(c)(7)【原注】)
野手が、走者をだます目的で意図的にボールをユニフォームの中(たとえばズボンのポケットなど)に隠した場合、審判員は「タイム」を宣告して、すべての走者に、そのような行為を行なった瞬間にすでに占有していたと審判員が判断した塁から少なくとも1個の塁を与える、という文言が追加されました。
日本高野連の解説では、2019年のOBR改正に対応するもので、このような行為があったと審判員が判断した場合は直ちにボールデッドとなることが明文化されたと説明されています。守備側にとっては、走者をだます目的で意図的にボールを隠すと、走者に塁が与えられる扱いになる点を知っておく必要があります。
ハイブリッドポジション(5.07(a)(2)【原注】ほか)
投手の投球姿勢に関する追加です。打者が打席に入る前に、投手がワインドアップポジションで投球する旨を審判員に伝えた場合には、セットポジションの姿勢とみなされる姿勢からでも、ワインドアップポジションとして投球できると定められました。日本高野連の解説では、このような投球を「ハイブリッドポジション」と呼ぶと説明されています(2017年のOBR改正に対応)。
注目したいのは、アマチュア野球に関する【注7】です。ワインドアップポジションで投球すると審判員に伝えたあと、攻撃側のプレーヤーの交代や走者の位置の変化でセットポジションに戻す場合でも、アマチュア野球では審判員にセットポジションで投球する旨を伝えなければならないとされています。
投手の部員は、申告の方法や審判員への伝え方が、所属する連盟の運用でどう扱われるかを、シーズン前に確認しておくと安心です。日本高野連の解説資料には、申告の手順を別文書(令和8年1月29日付)で示す旨が書かれていますが、これは高校野球向けの運用です。大学野球の運用は、所属連盟の案内で確認してください。
最終回の走塁とアピール(5.08(b)【注】)
最終回の裏、満塁や打者への四球ストライクゾーンを外れた投球が4つになり、打者が一塁へ進めること。打数には数えない。用語辞典で見るなどで決勝点同じ相手との試合を続けて行い、先に2勝したチームに与えられる点。勝った試合数ではなく、この点の多さで順位を決める。
用語辞典で見るが入る状況の規定です。次の塁に進んで触れる義務を負う走者(三塁走者と打者走者)が、次の塁に触れ損なった場合、守備側のアピールがあったときだけ審判員はアウトを宣告する、と改められました。日本高野連の解説は、これにより、守備側のアピールがなければ審判員はアウトにできなくなったと説明しています。
なお、走者が次の塁に進もうとしない場合には、適宜な時間がたてば、アピールを待たずにアウトを宣告できる点は従来どおりです。サヨナラの場面は、攻撃側・守備側ともに判断を誤りやすい局面です。守備側は「アピールして初めてアウトになる」こと、攻撃側は「触れ損なえばアピールされる可能性がある」ことを、最後まで気を抜かずに確認しておく必要があります。
走者が打球に触れた場合(5.09(b)(7))
走者がフェアボールに触れたときの取り扱いも、文言が整理されています。日本高野連の解説では、塁に触れて反転したフェアボールに走者が触れた場合、フェア地域かファウル地域かに関係なく、その走者はアウトになり、ボールデッドになる、という解釈に改められたと説明されています。走者の位置に関係なくアウトになる点が、実戦で迷いやすい部分です。
イニングの初めに登板する投手(5.10(g)(2))
イニングの初めに登板する投手の投球義務に関する【注】が追加されました。日本では、基準を「準備投球を行なったとき」から「ファウルラインを越えたとき」に置き換えて適用すると定められています。日本高野連の解説では、イニングの初めに投手がファウルラインを越えてしまえば、第1打者に代打者が出た場合でも、その代打者に対して打撃を完了させる義務が生じると説明されています。なお、高校野球では従来どおり高校野球特別規則に基づいて運用するとされています。大学野球での扱いは、所属連盟の規定を確認してください。
そのほかの文言整理
- マウンド訪問(5.10(l)【原注】): 監督またはコーチがマウンドに行ったとき、投手が他の守備位置に移ったかどうかに関係なく、そのイニングでその投手のもとへ1度行ったことになる、という文言が追加されました。ただし、アマチュア野球では訪問回数の扱いは所属する団体の規定に従います。
- ベースコーチ(6.01(a)(8)): 三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、つかんだりして、走者の帰塁や離塁をアシストしたと審判員が認めた場合の文言です。日本高野連の解説は、結果として走者を助けるものでなければ、接触しても規則適用にはならないと説明しています。
- 捕手とオブストラクション(6.01(h)): 捕手は、ボールを処理しようとしているときか、すでにボールを持っているときだけ塁線上に位置できる、という表記に整理されました。
- 試合の打ち切り(4.03(e)): 日本では、天候状況によっては30分を待つことなく試合を打ち切ることができる、という【注】が追加されました。
大学野球では「所属団体の規定に従う」項目が増えた
今回の改正では、「プロ野球」「プロフェッショナルリーグ」といった表現を削除し、NPB日本野球機構の略称。プロ野球を運営する団体で、ドラフト会議の主催もしている。用語辞典で見るとアマチュア野球で取り扱いを分ける書き方に改められました。その結果、大学野球の部員にとっては、「アマチュア野球では所属する団体の規定に従う」と書かれた項目がどれなのかを知っておくことが、実務上のポイントになります。
| 項目 | 改正文書の内容 |
|---|---|
| 使用できるバット(3.02(a)) | アマチュア野球では、使用できるバットについては所属する団体の規定に従う |
| 着色バット(3.02(d)) | 規則委員会の認可が必要。我が国では所属する団体の規定に従う |
| 規定違反のバット(3.02注) | 我が国では、規定に違反しているバットは試合から取り除かれる(改造バットは6.03(a)(5)のとおり) |
| 臨時代走者(5.10(e)) | アマチュア野球では所属する団体の規定に従う |
| ベンチに入れる者(5.10(k)) | 我が国では所属する団体の規定に従う |
| マウンド訪問の回数(5.10(l)) | アマチュア野球では所属する団体の規定に従う(上述) |
| サスペンデッドゲーム(7.02) | NPBでは適用せず、アマチュア野球では所属する団体の規定に従う |
バットについては、日本高野連の解説が、規定に違反しているバットを使用した場合でもプレーは有効であり、打者にアウトを宣告したり試合から除いたりはしないと説明しています(ただし改造バットを使用した場合は、打者にアウトが宣告されます)。木製バットへの移行を考えている部員は、大学野球の木製バット移行のコツもあわせて読んでみてください。
規則書の外で動いている大学野球のルール
公認野球規則の改正とは別に、大学野球では連盟単位のルール変更も進んでいます。報道によれば、東京六大学野球連盟は2026年のリーグ戦からDH制投手の代わりに打撃だけを行う選手で、守備には就かない。試合前に名前と打順を申告する。東京六大学は2026年から採用。用語辞典で見る(指名打者制)を導入し、2025年春からビデオ検証も導入しています(デイリースポーツ:東京六大学野球が26年DH制導入)。高校野球でも、日本高野連の発表によれば、2026年シーズンから高校野球特別規則に「規則5.11 指名打者を採用する」と明記されました(日本高野連:2026年版高校野球特別規則の改正)。
ビデオ検証の請求回数や対象プレーについては、大学野球のリクエスト制度(ビデオ検証)の解説で整理しています。
DH制が導入されたシーズンの影響は、成績にも表れる可能性があります。当サイトでは、東京六大学野球 秋季の順位表や投手成績・打撃成績のランキング、東都大学野球1部の順位表、東都1部の日程と結果を公開しています。ルールの変更を頭に入れたうえで見ると、リーグ戦の見え方が変わります。実況や解説で出てくる用語は、戦術用語の一覧記事で確認できます。
部員が改正を確認するときの手順
最後に、改正を自分のチームに落とし込むときの手順をまとめます。
- 一次情報を見る: 日本野球規則委員会の改正文書(NPB:2026年度 野球規則改正)と、日本高野連の解説資料(2026年度 野球規則改正の要点解説)を読みます。解説資料は、各項目が「従来どおり」かどうかを示してくれます。
- 【注】を確認する: 「我が国では」「アマチュア野球では」とある項目は、条文本文より【注】の記載が優先される場合があります。
- 所属連盟の規定を確認する: バット、臨時代走者、ベンチ入り試合の日にベンチに入り、いつでも出られる状態でチームに加わること。東京六大学では選手25名がベンチ入りできる。用語辞典で見るできる者、マウンド訪問の回数などは、所属する団体の規定に従います。主将や主務マネージャーの代表にあたる部員。連盟や大学との連絡窓口になり、リーグ戦の運営や合宿の準備なども受け持つ。
用語辞典で見る、学生審判・記録担当の部員を通じて、連盟からの案内を確認します。
- チーム内で共有する: プレーに関わる項目(隠し球、ハイブリッドポジション、最終回のアピール)は、練習試合の前にバッテリーや内野手と確認しておくと、判断に迷いにくくなります。
記録を担当する部員は、スコアブック試合の経過と選手の成績を、決まった記号を使って書き残す記録用紙。打率などを計算するもとのデータになる。用語辞典で見るの記入でもルールの判断が必要になります。スコアブックの書き方の解説もあわせて参考にしてください。
まとめ
2026年度の公認野球規則の改正は27項目ありますが、日本高野連の解説を見ると、多くは文言の整理で、プレイングルールは従来どおりと説明されています。プレーに関わるのは、隠し球の明文化、ハイブリッドポジション、最終回の走塁に関するアピール、走者が打球に触れた場合の解釈などです。一方で、内野手を二塁ベースの両側に2人ずつ位置させる規定は、引き続き日本では適用されません。
大学野球の部員にとって大切なのは、改正の見出しだけで判断せず、一次情報の【注】と所属連盟の規定を確認する習慣をつけることです。公認野球規則は年度ごとに見直されます。2026年度分は2025年11月20日に発表されているため、次年度の改正も日本野球規則委員会の発表をNPB公式サイトで確認しておくと安心です。
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