ルール解説 2026-10-16

大学野球のリクエスト制度(ビデオ検証)とは?東京六大学の運用と2026年のルールを解説

神宮球場やテレビ中継で、監督が審判に何かを伝えたあと、審判が集まって映像を確認する場面を見たことがある方は多いと思います。これが、いわゆるリクエスト制度(ビデオ検証)です。大学野球でも導入が進んでおり、2026年夏には高校野球の全国大会にも初めて取り入れられました。この記事では、大学野球の部員、進学を考える高校球児、観戦するファンやOBに向けて、リクエスト制度の基本、東京六大学での運用、2026年に導入された高校野球との違いを、公表されている情報をもとに整理します。

なお、リクエスト制度の細かな運用(請求できる回数、対象プレー、請求できる人)は、連盟や大会ごとに異なる場合があります。この記事では、確認できた範囲を出典付きで示し、確認できていない部分は断定しない形で書いています。実際に出場する大会・観戦する大会については、必ず各連盟の公式発表や大会要項で最新のルールを確認してください。

リクエスト制度(ビデオ検証)とは何か

リクエスト制度とは、審判が下した判定に対して、チーム側が映像による確認を求められる仕組みです。プロ野球(NPB)ではリプレー検証として定着しており、社会人野球や大学野球でも導入が進んできました。

大学野球での位置づけを押さえておくと、次の3点に整理できます。

つまり、リクエスト制度は「判定への不満を言う場」ではなく、あらかじめ決められた範囲・回数の中で、明確な誤審を防ぐための仕組みだと言えます。

東京六大学では2025年春からビデオ検証を導入

大学野球でいち早くビデオ検証を取り入れたのが東京六大学野球連盟です。報道によれば、東京六大学野球は2025年の春季リーグ戦からビデオ検証を導入しています。規定はNPBのリプレー検証とほぼ同様で、請求の権利は1試合につき1回、検証が成功した場合(判定が覆った場合)は権利が残る、と伝えられています(デイリースポーツの報道:東京六大学野球が26年DH制導入 ビデオ検証は今春から導入)。

同じ報道では、導入の背景として審判側からも声が挙がったことが紹介されています。判定の正確性を高めたいという審判側の事情も、導入を後押ししたことがうかがえます。

ここで押さえておきたいのは、「成功すれば権利が残る」という点です。1試合1回という枠は、判定が覆らなかった場合に使い切る形になります。そのため、ベンチは「本当に覆る可能性が高いプレーか」を見極めてから請求する必要があります。この見極めは、ベンチにとって新たな判断になると考えられます。

同じ年に決まったDH制導入とのセットで知っておきたい

東京六大学は、2026年シーズンからDH制(指名打者制)も導入しています。前述の報道では、全日本大学野球連盟に加盟する連盟のうちDH制を未採用だったのは東京六大学と関西学生のみ、とされていました。2026年春季リーグ戦の開幕前日には、各校の監督が新ルールについてコメントしています(開幕前日の報道:早大・小宮山監督「DH解除多くなる」ほか)。

DH制とビデオ検証は別の制度ですが、どちらも「プロ野球や社会人野球に合わせて大学野球のルールが近づいている」という流れの中にあります。大学で野球を続ける選手にとっては、卒業後の進路(社会人野球など)で採用されているルールを学生のうちから経験できる環境が整いつつあると言えます。

2026年夏の甲子園で高校野球にもビデオ検証が導入された

2026年の大きな動きが、高校野球への導入です。日本高野連と全日本大学野球連盟は「大学及び高校野球におけるビデオ検証に関する特別規則」を作成しました。この特別規則は、第108回全国高校野球選手権大会(2026年夏の甲子園)から採用されています(日本高野連:ビデオ検証特別規則に関する記事)。

特別規則の名称に「大学及び」と入っているとおり、この規則は高校野球だけでなく大学野球も視野に入れて作られた枠組みです。ただし、各大学連盟が実際にどの大会・どのリーグ戦でこの規則をそのまま適用しているかは、連盟ごとに異なります。東京六大学の運用は上で紹介した報道の通りですが、他の連盟についてはそれぞれの公式発表を確認してください。

高校野球の運用ルール(確認できた範囲)

日本高野連の公式サイトの記事と、新聞報道から確認できる高校野球側の運用は次の通りです。

項目内容
適用開始第108回全国高校野球選手権大会(2026年夏)から
請求できる人監督ではなく、伝令が検証を求める
請求回数9イニングで1回。判定が変わった場合は追加で1回(計2回まで)
延長戦9イニングまでの回数にかかわらず、延長戦では1回
主な対象フェアかファウルか、タッチプレー、本塁打、捕球の確認など
対象外の例守備妨害などの妨害プレー

請求回数と対象については、日本高野連の記事と、神戸新聞の論説(神戸新聞:高校野球のビデオ検証導入について)の記述をもとにしています。同論説は、プロ野球や社会人野球、東京六大学野球などではすでに採用されていることにも触れています。

東京六大学の「1試合1回、成功すれば権利が残る」という運用と、高校野球の「9イニングで1回、覆れば追加1回、延長で1回」という運用は、細部が違います。大学から高校の運用に移る(あるいは高校から大学に進む)ときは、同じ「リクエスト」でも回数の数え方が違う可能性がある点に注意が必要です。

甲子園で最初に行われた検証の例

高校野球で初めてビデオ検証が行われたのは、2026年8月7日の第108回全国高校野球選手権大会です。有明と立命館宇治の試合で、7回に二塁盗塁がアウトと判定された場面で、有明側が検証を求めました。結果は「映像では確証が得られず、元の判定どおり」となり、アウトのまま維持されました(日本高野連:ビデオ検証の運用に関する記事)。

この記事では、審判副委員長が説明した検証結果のパターンも紹介されています。

  1. 映像から確認でき、審判の判定どおりだった
  2. 映像では確証が得られず、元の判定どおりとなった
  3. 映像から確認でき、当初の判定が覆った

ポイントは2番目です。映像を見ても明確な根拠が得られなければ、判定は「覆る」のではなく「元のまま」になります。リクエストを出せば判定がひっくり返る、というわけではない点は、ベンチ側もファン側も理解しておきたいところです。

大学野球でリクエストを使う場面を想像してみる

ここからは、上で確認した制度の内容を前提に、部員や観戦者が知っておくと役立つ見方を整理します。以下は一般的な考え方であり、特定の連盟の運用を保証するものではありません。

ベンチは「請求する価値があるか」を考える

1試合に使える回数が限られている以上、ベンチは次のようなことを考えます。

東京六大学では、成功すれば権利が残るため、確信度の高いプレーでは請求しやすい構造です。一方、失敗すると権利を失うため、ベンチの判断力が問われます。

学生スタッフの役割も広がる可能性がある

映像を確認して「請求するかどうか」をベンチに伝える役割は、コーチだけでなく、アナリストや学生コーチが関わる場面もありえます。実際に各チームがどのような体制で運用しているかは公表されていないため断定はできませんが、データや映像を扱う学生スタッフの活躍の場が増える可能性はあります。マネージャーやアナリストを目指す高校生は、アナリスト・学生トレーナーの入部方法や学生コーチの役割もあわせて確認しておくと、大学野球の裏方の仕事を具体的にイメージしやすくなります。

観戦者は「待つ時間」の意味を知っておく

検証が行われると試合は一時中断し、審判が映像を確認します。球場では待ち時間が生じますが、これは判定の正確性を担保するための手順です。観戦中に検証が始まったら、どのプレーの何を確認しているのかを注目してみると、ルールの理解が深まります。

リクエスト制度の対象になりやすいプレー

ここまで見てきた情報から、大学野球・高校野球で検証の対象となる主なプレーを整理します。

一方、ストライクとボールの判定、ハーフスイング、守備妨害などの妨害プレーは対象外とされています。これらは、映像だけでは判断しにくい、あるいは審判の裁量に委ねられる部分だからです。ただし、細かな対象リストは大会や連盟ごとに定められています。出場する大会の要項で確認してください。

今季の六大学・東都を観戦するときのヒント

リーグ戦の観戦を楽しむなら、ルール変更を知っておくと見え方が変わります。本サイトでは、東京六大学・東都大学野球の2026年秋季リーグ戦の順位表と日程を公開しています。

東京六大学の順位表と日程を見ながら観戦すると、接戦のカードや優勝争いの場面で、判定一つが勝敗に直結しやすいことがイメージしやすくなります。リーグ戦の仕組みそのものを知りたい方は、東京六大学・東都の仕組み解説もあわせてご覧ください。また、野球用語に慣れていない方は戦術用語一覧も参考になります。

よくある疑問

リクエストをすれば必ず判定が覆りますか

いいえ。甲子園での最初の事例のように、映像で確証が得られず元の判定のままとなるケースがあります。検証結果は「審判の判定どおり」「確証が得られず元のまま」「覆る」の3つに分かれます。

大学野球のすべてのリーグで同じルールですか

同じとは言い切れません。東京六大学は2025年春から導入していると報じられていますが、各連盟が独自にリーグ戦要項を定めているため、運用は連盟ごとに異なる場合があります。進学先や応援するチームのリーグについては、連盟の公式発表をご確認ください。

高校野球でリクエストするのは監督ですか

2026年夏の甲子園では、監督ではなく伝令が検証を求める運用とされています(日本高野連の記事)。

まとめ

ルールは今後も見直されていく可能性があります。出場する・観戦する大会の公式発表を確認しつつ、制度の仕組みを理解したうえで、野球をより楽しんでみてください。

参考にした一次情報・報道

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